保険料は見直すべき?

保険料削減

不要な保険を見極める方法

保険料は毎月確実に支出される固定費の一つですが、多くの方が「保険は複雑でよくわからない」「勧められるまま加入した」という理由で、見直しを後回しにしています。生命保険文化センターの調査によると、日本人の生命保険加入率は約80%以上で、世帯あたりの年間払込保険料は平均約37万円にも上ります。月換算で約3万円です。

しかし、その保険は本当に必要でしょうか。実は、多くの人が過剰な保険に加入しており、不要な保障にお金を払い続けています。保険を正しく見直せば、月数千円から数万円、年間で10万円以上の削減も可能です。本記事では、保険の基本から不要な保険の見極め方、適切な保険の選び方まで、誰にでもわかりやすく解説します。

保険の基本:本当に必要な保険とは

保険見直しの第一歩は、「本当に必要な保険」と「不要な保険」を区別することです。保険の本質を理解すれば、自分に必要な保障が見えてきます。

保険の役割を正しく理解する

保険は「万が一のときに、大きな経済的損失をカバーする」ためのものです。つまり、以下の2つの条件を満たすときに保険が必要になります。

第一に、発生確率は低いが、もし起きたら経済的に大きなダメージを受ける事態。第二に、貯蓄では対応できない金額の損失。この2つの条件に当てはまらない保険は、基本的に不要です。

例えば、一家の大黒柱が亡くなった場合、残された家族の生活費が確保できなくなるのは大きな経済的損失です。これは貯蓄だけではカバーできないため、生命保険が必要です。一方、入院時の日額5,000円程度なら、貯蓄で対応できる範囲なので、過剰な医療保険は不要かもしれません。

公的保障を把握する

多くの人が見落としているのが、公的な保障制度です。日本には充実した社会保障制度があり、民間保険に加入しなくても、ある程度の保障は受けられます。

高額療養費制度: 医療費が一定額を超えた場合、超過分が払い戻される制度です。例えば、年収約370万円〜770万円の方なら、月の医療費上限は約9万円です。100万円の医療費がかかっても、実際の負担は9万円程度で済みます。

遺族年金: 会社員や公務員が亡くなった場合、遺族に年金が支給されます。子どもがいる場合、年間100万円〜200万円程度受け取れることもあります。

傷病手当金: 会社員が病気やケガで働けなくなった場合、給料の約3分の2が最長1年6ヶ月支給されます。

これらの公的保障を理解した上で、足りない部分だけを民間保険で補うのが賢い選択です。

必要な保険と不要な保険の見極め

一般的に、以下の保険は検討する価値があります。

必要性が高い保険: 死亡保険(扶養家族がいる場合)、火災保険(持ち家の場合)、自動車保険(対人・対物無制限)、個人賠償責任保険。

場合によっては必要: 医療保険(貯蓄が少ない場合)、がん保険(家系的にリスクが高い場合)、就業不能保険(自営業者など)。

基本的に不要: 貯蓄型保険(掛け捨てより効率が悪い)、外貨建て保険(為替リスクが高い)、学資保険(返戻率が低い)、特定疾病の保険(保障範囲が狭すぎる)。

生命保険の見直しポイント

生命保険は保険料が高額になりやすく、見直しによる削減効果も大きい項目です。

必要保障額の計算方法

生命保険の保障額は、「残された家族に必要な総額」から「遺族年金や貯蓄などで賄える金額」を引いた額です。

例えば、30代会社員の夫、専業主婦の妻、子ども2人(5歳と3歳)の場合を考えてみましょう。

必要な総額: 妻の生活費(月15万円×30年=5,400万円)、子どもの教育費(1人1,000万円×2人=2,000万円)、合計7,400万円。

カバーできる金額: 遺族年金(年120万円×18年=2,160万円)、妻の収入見込み(パート月8万円×30年=2,880万円)、現在の貯蓄(500万円)、合計5,540万円。

必要保障額: 7,400万円 – 5,540万円 = 1,860万円。

この場合、死亡保険金2,000万円程度あれば十分です。5,000万円や1億円といった過剰な保障は不要です。

掛け捨て型と貯蓄型の選択

生命保険には掛け捨て型と貯蓄型がありますが、基本的には掛け捨て型がおすすめです。

掛け捨て型の定期保険なら、30代男性で死亡保障2,000万円が月2,000円〜3,000円程度です。一方、貯蓄型の終身保険や養老保険は、月1万円〜2万円以上かかります。

「掛け捨てはもったいない」と思われがちですが、保険と貯蓄は分けて考えるべきです。貯蓄型保険は、保険料が高い上に利回りも低く、途中解約すると元本割れします。掛け捨て保険で保障を確保し、浮いた分を銀行預金や投資に回す方が、はるかに効率的です。

定期的な見直しのタイミング

生命保険は、ライフステージの変化に合わせて見直す必要があります。

見直すべきタイミング: 結婚したとき(保障を増やす)、子どもが生まれたとき(保障を増やす)、子どもが独立したとき(保障を減らす)、住宅ローンを組んだとき(団信があるため保障を減らせる)、定年退職したとき(保障を減らすor解約)。

特に子どもが独立した後も、若い頃と同じ高額な保障を続けている方が多く見られます。扶養家族がいなくなれば、葬儀費用程度(200万円〜300万円)の保障で十分です。5,000万円の保障を継続する必要はありません。

医療保険の見直しポイント

医療保険は加入率が高い一方で、実は不要なケースも多い保険です。

医療保険は本当に必要か

前述の高額療養費制度により、医療費の自己負担は月9万円程度(年収により変動)が上限です。つまり、入院や手術をしても、貯蓄が100万円程度あれば対応できます。

医療保険で入院日額5,000円、手術給付金10万円といった保障を受けても、実際にカバーできるのは年間数万円〜十数万円程度です。一方、保険料は月3,000円〜5,000円かかり、年間で36,000円〜60,000円の支出になります。

若くて健康なうちは入院する確率も低く、医療保険の「元を取る」のは難しいのが現実です。貯蓄がある程度あるなら、医療保険は不要、または最小限の保障で十分でしょう。

医療保険が必要な人

以下の場合は、医療保険の加入を検討する価値があります。

貯蓄が少ない方(100万円未満)は、急な入院や手術に対応できないため、医療保険でリスクをカバーする意味があります。自営業やフリーランスの方は、傷病手当金がないため、入院中の収入減少をカバーする目的で加入する価値があります。

持病がある方や家系的にがんのリスクが高い方は、がん保険や特定疾病保険を検討しても良いでしょう。ただし、保障内容と保険料のバランスをよく確認することが大切です。

不要な特約を削除する

医療保険に加入している方は、契約内容を確認し、不要な特約を削除しましょう。

削除を検討すべき特約: 先進医療特約(実際に使う確率は極めて低い)、通院特約(給付条件が厳しく、実際に給付されるケースは少ない)、女性疾病特約(通常の医療保険と重複している)、三大疾病特約(保障範囲が狭い割に保険料が高い)。

これらの特約を削除するだけで、月500円〜2,000円、年間6,000円〜24,000円の削減になります。

がん保険・その他の保険の見直し

がん保険や様々な特定疾病保険も、本当に必要か検討しましょう。

がん保険の必要性

がんは日本人の2人に1人が罹患すると言われており、不安を感じる方も多いでしょう。しかし、がん保険が本当に必要かは、慎重に考える必要があります。

がん治療も高額療養費制度の対象です。入院や手術の費用は、一般的な医療保険や貯蓄でカバーできます。問題は、先進医療や自由診療を受ける場合ですが、実際にこれらを選択する人は少数派です。

がん保険に月3,000円払うなら、年間36,000円です。10年で36万円、20年で72万円を支払うことになります。この金額を貯蓄しておけば、万が一がんになっても十分対応できます。

ただし、家系的にがんのリスクが高い方、先進医療を受けたいと考えている方は、がん保険の加入を検討する価値があります。

個人賠償責任保険は必須

逆に、ほとんどの人に必要なのが個人賠償責任保険です。この保険は、他人にケガをさせたり、他人の物を壊したりした場合の賠償責任をカバーします。

自転車で歩行者にぶつかって重傷を負わせた場合、数千万円の賠償金を請求されることもあります。個人賠償責任保険に加入していれば、こうした高額賠償リスクをカバーできます。

保険料は月100円〜300円程度と非常に安く、補償額は1億円〜3億円です。火災保険や自動車保険の特約として付帯できることが多いので、必ず加入しておきましょう。

学資保険の代替案

子どもの教育資金のために学資保険に加入している方も多いでしょう。しかし、現在の学資保険は返戻率が低く、あまりお得とは言えません。

例えば、18年間で総額200万円払い込んで、満期時に210万円受け取れる場合、返戻率は105%です。年利換算すると約0.27%にしかなりません。銀行預金の金利と大差ないか、むしろ低いくらいです。

教育資金は、つみたてNISAなどの投資信託で積み立てる方が、はるかに効率的です。もちろん投資にはリスクがありますが、18年という長期間なら、リスクを分散しながら年3〜5%程度のリターンを目指すことも可能です。

200万円を18年間、年利3%で運用できれば、約340万円になります。学資保険の210万円と比べて、130万円も差がつきます。

保険の見直し手順と注意点

実際に保険を見直す際の具体的な手順と注意点をお伝えします。

現在の加入保険を整理する

まず、自分がどんな保険に加入しているか、すべてリストアップしましょう。保険証券を集めて、以下の項目を整理します。

保険の種類(死亡保険、医療保険、がん保険など)、保障内容(保険金額、給付条件)、保険料(月額、年額)、保険期間(いつまで保障されるか)、特約の内容。

これらを一覧表にすると、重複している保障や不要な特約が見えてきます。

保険の優先順位をつける

すべての保険を一度に見直すのは大変なので、優先順位をつけて取り組みましょう。

優先度高: 保険料が高額な保険(月5,000円以上)、貯蓄型保険(掛け捨てに変更できる)、加入から10年以上経過している保険(保障内容が古い可能性)。

優先度中: 医療保険やがん保険(特約の見直し)、重複している保障(複数の保険で同じ保障を受けている)。

優先度低: 保険料が安い保険(月1,000円未満)、加入したばかりの保険。

見直しの注意点

保険を見直す際は、いくつかの注意点があります。

新しい保険が成立してから解約する: 健康状態によっては新しい保険に加入できない可能性があるため、必ず新しい保険の契約が成立してから、古い保険を解約しましょう。

解約返戻金を確認する: 貯蓄型保険を途中解約すると、元本割れする可能性があります。解約返戻金がいくらか確認し、大きく損をしないタイミングで解約しましょう。

無料相談を活用する: 保険の見直しは専門知識が必要なので、無料の保険相談サービスを利用するのも一つの方法です。ただし、相談員は保険販売で手数料を得ているため、商品を勧められることもあります。鵜呑みにせず、自分でも判断することが大切です。

まとめ:保険は「守り」ではなく「効率」で選ぶ

保険料は固定費の中でも見直し効果が大きい項目です。不要な保険や過剰な保障を削減すれば、月数千円から数万円、年間で10万円以上の節約が可能です。

保険の本質は「大きなリスクに備える」ことです。小さなリスクは貯蓄で対応し、公的保障を最大限活用した上で、足りない部分だけを民間保険で補いましょう。

まずは現在の加入保険を整理し、本当に必要な保障を見極めることから始めてください。保険は「安心」を買うものですが、過剰な安心にお金を払い続ける必要はありません。適切な保険選びで、家計を大きく改善できるはずです。

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